カナダ、ポータブルウィンチ社のPCW3000とPCW5000は、女性でも重量材の集材を可能にするハンディなエンジンウィンチ(俗称PCウィンチ:ポータブルキャプスタンウィンチ)だ。おっと、記載者は島根スタッフの縄文之森協議会の高濱。PCW5000は7年半くらい前に導入、PCW3000は4年以上前に導入して使用している。
当協議会では、仲間に頼まれた支障木処理やODSK島根ツリーワーク講習の時に使う以外では、主に一般市民のための集材・搬出講習とロープワーク&掛かり木処理講習で活用している。
個人的には、上画像の様に、山でチェンソー製材を行う場合に、太くて長い材を枕の上に載せたり、移動したりするのに重宝している。画像の杉は、多分1.5t近いもの。バックホウがなくても重量物を動かすことができる。
因みに、PCウィンチは、林業用という訳ではなく、カナダでは大型獣の狩猟や大型ボートの引き上げ、車両のレスキューなどにも使われている。
写真上はPCW3000、下の写真はPCW5000。上画像は、島根県林研で行なった講習のもの。下の画像は、熊本の天草林研主催の講習会のもの。
当縄文之森協議会では、一般市民の女性が一人でも安全に伐採して材を山から搬出できる様になれる、と言うのがモットー。もちろん向き不向きと言うものはあるけれど。。。
PCW3000の牽引力は700kg、PCW5000の牽引力は1.1tだから、滑車を使って3倍力を掛ければ、理論的にはそれぞれ2.1t、3.3tの牽引力を発生することができる。
重量材だと、キャプスタンドラムとロープがスリップしない様に引く力を入れる必要があるけれど、女性でも元口30cm以上の全幹15m程度のものを地引集材ができる(斜面の上げ荷は倍力を掛ける)。
ロープを牽引する仕組みは、キャプスタンドラムにロープを数度巻いておき、人が引っ張って摩擦を発生する事で巻き取りが可能になり、ロープを引っ張る手を緩めれば、キャプスタンドラムが空回りするだけで、牽引は行われないというもの。
そのために、操作は難しくない。年配のお母さんだって集材ができる。
ただし、逆戻りをした場合や、材の頭を持ち上げてしまい、材を下ろす必要がある時には要注意。ドラムのところで乱巻きが起こって絡んでしまう(ロープのキンクを直さないで使用していると)ことや、急激に荷重が掛かってロープが引きもどされた時に、ロープを止めようとしてロープガイドに指を巻き込まれることが発生する場合があるからだ。
その防止のために、まずは上の写真3枚にある様に、ロープガイドから1m以上離れてロープ操作をすることを徹底された方が良い。また、ODSKの商品にある様に、逆戻り防止装置を設置すれば材が暴れた時の安全を確保できる。
このPCウィンチは使い方によっては非常に強力であり応用範囲も広い。スイングヤーダと組み合わせて使えば横取りが楽になるし、バックホウでは届かない道脇のさらに奥の材を楽に機動的に搬出ができる様になる。
使い方は一見簡単そうに思えるが、力が強いので破綻した時には、ワイヤーロープと比較してシリアスな事故にはなりにくいものの、張力が数トンも掛かったロープが破断すれば大きな怪我に結びつく可能性があるので、樹上伐採用のアイテムを応用活用できるODSKか当協議会の講習を受講されることをオススメする次第。
ODSKの仲間たちの会社、特殊伐採のマルイチ株式会社の現場でテストして積み上げたノウハウがあり、またODSKの指導によって構築された当協議会のメソッドもあるので、樹上伐採用のツールをさらに組み合わせて、より安全に、そしてパワフルな使用方法が可能になるかもしれない。
【ロープの洗濯は如何?】
ところで、これらの製品の既ユーザで、然るべき研修を受けていない人にお伝えしておきたいことがある。牽引用のウィンチロープはマメに洗濯しているだろうか?
新品は右画像の左側の様な白色だが、使っていると右側のロープの様にねずみ色になっていく。
このロープはこれでも洗濯をしたあとなのだが、色が染み付いたままだ。
この熟成した色具合は、土や埃などの汚れ以外にキャプスタンドラムのアルミ成分の色が固着している場合が殆どなのだ。
youtubeを見ただけでネット販売で手に入れて使っている人たちも結構いるのでロープを見る機会もあるのだが、大抵はねずみ色だ。(*_*;;
「ねずみ色の何処が悪いんだ!使っていれば汚れるのは当たり前だろう。」って? ハイハイ、そうですね。ただ、汚れているだけだったら良いんですけどね〜。
それは、右画像の様にキャプスタンドラムにロープを巻きつけて、その摩擦力で牽引力を発生させる訳だが、時に材が岩や切り株などの障害物に当たって止まってしまったり、または牽引力に対して負荷が高すぎて抵抗が多い時に、無理して引くとドラムのみが空回りしてしまうから・・・
そこで、無理して牽引を続けると、やがてドラムが発熱し手で触れないほど熱くなる。
牽引用のウィンチロープは、なんでも良いわけではない。クレモナロープを使って切れてしまったなどという話も聞いたことがあるけれど、動力の道具を使う=危険作業と言う概念がない人には使わせてはいけない。
キャプスタンドラムで牽引するための専用のものは、被覆もコアも化繊の中でも熱に強いポリエステルのダブルブレイドで構成されているが、無理なスリップを続けると溶断してしまう。
それが外からは分からずに、中のコアだけが切れ掛かっている場合があるから事故が起きる。
ところが被覆自体も溶けている場合が多い。その場合、キャプスタンドラムのアルミ成分が削れて溶けかけたロープに固着してねずみ色になっているケースが殆どだ。
って、自分も結構無理な牽引をよくやるので知っている。わたしは分かってやっているから未だ良いものの、何も考えないで無理な牽引をやっている連中もたくさん見ている。
そして、一番ダメなのは、ねずみ色のまま使っていると言うことは、ロープに固着したアルミ成分とアルミ素材のキャプスタンドラムとの相性で、摩擦力が少なくなってしまいスリップが激しくて全然牽引できなくなってしまうから。
そうすると、ますます発熱は激しくなり、ロープは「バッチン!」、となってしまう。
そんな傷んだロープは、使えない部分を切って捨てて、あとはフローティングアンカー(トップ画像の長い材を持ち上げて移動)を設置する時に使ったり、広葉樹伐採の際の裂け留めに使うのが宜しいかと。
ODSKのお客様以外で、こういったロープの知識がない人はこちらも参考になるかも。
・ソフトシャックル(ダイニーマ製10mm)---牽引をより安全にするアイテム
・PCウィンチ(PCW3000)も入るロープバッグ---ArbPro バケットバックパック75Lについて
何にしてもこういった製品の販売者が、伐採、集材のプロとは限らないので、自分自身でよく注意してロープのメンテナンスだけは最新の注意をもって運用することが大事。ロープの破断は大きな事故に繋がる可能性があるので要注意!
【キャプスタンドラムが消耗したら交換】
ロープを無駄に消耗させないためにはキャプスタンドラムが傷ついていないかをチェックしておくことが必要。
逆にロープが泥だらけになっているとキャプスタンドラムがすり減る原因になる。また、被覆が硬いロープも同様。リギング用ロープのシリウス500は32ストランドで編み込んであるので丈夫で良いけれど、キャプスタンドラムには優しくない。
あとは牽引時に高負荷が掛かって、ドラムがスリップを始めると、ギー、ギーとロープとの間で音がする時があるので、その場合には速攻作業を止めて滑車の数を増やすことを考えた方が良い。キャプスタンドラムもロープの両方が傷むからね。
また、PCウィンチを持ち運ぶ時にキャプスタンドラムを傷つけない様にした方が良いだろう。車に積む時も、持って移動する時にも硬いものにぶつけてしまう可能性があるのならば、下記の画像の様にベルトスリングを巻いておく手もある。
ODSKでは、交換用のキャプスタンドラムも販売しているので消耗したら交換をオススメしたい。
また、PCW5000用には高速巻き取り用のオプション、大径のキャプスタンドラムがあり、標準の12m/分から標準の18m/分に速度が上がる。ただし、牽引力が落ちるので、ロープで架線を張って材をヘッドアップしながら集材する様な、速度が速くて負荷が少ない場合に使うのが良いであろう。
【マメなエンジンオイル交換が命】
ホンダの4サイクルの汎用エンジンを搭載している。ホンダ製と言っても日本のものではなくカナダホンダ製のものである。
このエンジンは、オイル交換を怠ると途端にエンジン内部が傷む。何故ならば吸気から排気までのサイクルを司るカムが樹脂製だからだ。
この樹脂製のカムが問題で、オイル交換を怠っているとエンジンがオシャカになってしまうのだった。上の画像はPCW5000の中身の現物。
いや、これは酷いね。ピストンヘッドにカーボンスラッジがベットリと付いている。もちろん、うちの協議会のものではない。
某町の委託事業で林業をやりたい若者たちの募集育成をやった時に、某町が設備していたPCW5000を使っていたら、エンジン音がおかしくて力が出なかったのである。
その場は、うちの協議会のPCW5000を代わりに使って済ませたが、具合が悪くなった方をオーバーホールに出した際に戻ってきたのがこの部品。ま、役場の管理なんてこんなものでしょう。この程度で済んで良かったかもしれない。
多分、何年もオイル交換をしないまま町民に貸し出していたのだろう。オイル交換をしなければ、摩擦が多くて発熱が激しく樹脂製品が変形してしまうのだそうだ。
そして、先に書いた様にバルブの動作タイミングがずれてしまいパワーダウンしてしまうということに。
これはPCW3000も同じ様である。PCW3000に使われているGX35というエンジンは、ホンダの4サイクルエンジン刈り払い機のものと同じらしい。
知り合いの車屋さんが言っていたが、一時期この刈り払い機が出た時にはみんな買って、みんな壊したそうだ。何故ならば、農家のお父さんたちは、刈り払い機のエンジンオイルを交換するという概念が無かったからとのこと。普通の2サイクルエンジンの刈り払い機は燃料入れるだけだからね。
それで、オイル交換もせずにエンジン全開で草を刈っていたらいけません。
【オイル交換作業】
エンジンオイルの量は、PCW3000が100cc、PCW5000が250cc。念のためにマニュアルも確認して欲しいが、こんな少ない量で負荷の高い作業を行なっている訳だから、直ぐにオイルが傷みそうでしょう。
わたしの場合には、ソフトドリンクの缶を使ってPCW5000用の250ccオイルを用意している。オイルの種類は普通の4サイクル用で良いはずだが、うちの場合にはジムニー用にカストロールのターボ用があるので、そのオイルを奢っている。
その上、高性能の添加剤もちょっとだけ入れたりしている。このナノワークス添加剤をPCウィンチに入れると、回り方が軽くなる上にパワーも若干違う様な気がする。
それは、同様に使っている仲間も同感するので、そうなのだろう。
と言うよりも、車に使うと燃費もトルクも違うので効果はあるし、またその効果が長持ちする。チェンソーや刈り払い機の燃料タンクに、ほんの少し垂らしただけでも、エンジンがよく回る様になるので、興味がある方はチャレンジしてみても良いと思う。古い機械ほど分かり易く変わる。
その添加剤ナノワークスのボトルがちょうど100ccなので、PCW3000用にはこのボトルにオイルを入れてある。
さて、5000も3000もオイル交換については同じ様なことをやるので、まとめて書いてみよう。とは、言ってもバイクや車のオイル交換と特別変わったことはない。
まずはオイルキャップ周りのお掃除。うちはエアコンプレッサーでよく吹いて周りのゴミも飛ばしておく。ついでにエアフィルターも掃除しよう。
こう言った道具を長持ちさせるには、エアフィルターの掃除が先ず第一に大事。
あとは、変な燃料を使わないこともかな。そして4サイクルエンジンは、兎に角オイル交換。
カバーを開けるとフィルター用のスポンジが・・・ 外してみると内側の吸入口付近も汚れている。
スポンジは灯油で洗ってから乾かす。ガソリンでも大丈夫だけど耐久性に影響あり?
乾いたら、スポンジをビニール袋に入れてから、そこに硬めのオイルを垂らす。我々ならばチェンソーのチェーンオイルでも良いかもしれない。オイルがサラサラの柔らかいものだと、みんな抜けてしまうからだ。
そして、ビニール袋中で全体にオイルが回る様にしてから絞って余計なオイルを追い出す。そして掃除をした元の場所へ戻して設置。
そうしたら次は目的のオイルを交換する。先ずは古いオイルを抜く。PCW5000の場合にはドレンプラグがあるので、緩めてオイルを捨てる。捨てる先は要らない缶でも、オイルを廃棄するための紙パックでも良い。どの道、大した量ではないので紙ゴミに吸わせてビニール袋に入れて捨てれば大丈夫。
それから新しいオイルをオイルキャップのところから入れる訳だが(ドレンプラグは締めるよね)、今までサボってオイル交換をしていなかったら、一回入れてからエンジンをしばらく回してからオイルを捨てるフラッシングをやった方が良いかもしれない。
オイルを入れたら、オイルキャップに付いているゲージでオイルの量を確認する。
とは言っても、目でも見ることができる。こんな具合だ。
これは、PCW3000も同じで、摺り切りレベルより若干少なめくらい。
この量では心配だとか余計なことを考えて、余分にたっぷりとオイルを入れると、エンジン始動が出来なくなるのでご用心。
あとは、エンジンの回転がもたついたりすることが有ったらキャブ側もオーバーホール。
たまにはキャブも開けてみよう。
オイル交換をすれば、またエンジンは軽やかに快調に回る様になる。
自分の場合には、先に書いた様にボトルに適正な量のオイルを入れていつでも交換できる様にデポしている。そうすれば気軽にオイル交換をする気になるからね。
大事な仕事の相棒はマメなオイル交換で感謝の気持ちを伝えよう。そうすれば、現場で突然ご機嫌が悪くなることもないだろう。
では、お大事にどうぞ。以上
PCW3000の牽引力は700kg、PCW5000の牽引力は1.1tだから、滑車を使って3倍力を掛ければ、理論的にはそれぞれ2.1t、3.3tの牽引力を発生することができる。
重量材だと、キャプスタンドラムとロープがスリップしない様に引く力を入れる必要があるけれど、女性でも元口30cm以上の全幹15m程度のものを地引集材ができる(斜面の上げ荷は倍力を掛ける)。
ロープを牽引する仕組みは、キャプスタンドラムにロープを数度巻いておき、人が引っ張って摩擦を発生する事で巻き取りが可能になり、ロープを引っ張る手を緩めれば、キャプスタンドラムが空回りするだけで、牽引は行われないというもの。
そのために、操作は難しくない。年配のお母さんだって集材ができる。
ただし、逆戻りをした場合や、材の頭を持ち上げてしまい、材を下ろす必要がある時には要注意。ドラムのところで乱巻きが起こって絡んでしまう(ロープのキンクを直さないで使用していると)ことや、急激に荷重が掛かってロープが引きもどされた時に、ロープを止めようとしてロープガイドに指を巻き込まれることが発生する場合があるからだ。
その防止のために、まずは上の写真3枚にある様に、ロープガイドから1m以上離れてロープ操作をすることを徹底された方が良い。また、ODSKの商品にある様に、逆戻り防止装置を設置すれば材が暴れた時の安全を確保できる。
このPCウィンチは使い方によっては非常に強力であり応用範囲も広い。スイングヤーダと組み合わせて使えば横取りが楽になるし、バックホウでは届かない道脇のさらに奥の材を楽に機動的に搬出ができる様になる。
使い方は一見簡単そうに思えるが、力が強いので破綻した時には、ワイヤーロープと比較してシリアスな事故にはなりにくいものの、張力が数トンも掛かったロープが破断すれば大きな怪我に結びつく可能性があるので、樹上伐採用のアイテムを応用活用できるODSKか当協議会の講習を受講されることをオススメする次第。
ODSKの仲間たちの会社、特殊伐採のマルイチ株式会社の現場でテストして積み上げたノウハウがあり、またODSKの指導によって構築された当協議会のメソッドもあるので、樹上伐採用のツールをさらに組み合わせて、より安全に、そしてパワフルな使用方法が可能になるかもしれない。
【ロープの洗濯は如何?】
ところで、これらの製品の既ユーザで、然るべき研修を受けていない人にお伝えしておきたいことがある。牽引用のウィンチロープはマメに洗濯しているだろうか?
新品は右画像の左側の様な白色だが、使っていると右側のロープの様にねずみ色になっていく。
このロープはこれでも洗濯をしたあとなのだが、色が染み付いたままだ。
この熟成した色具合は、土や埃などの汚れ以外にキャプスタンドラムのアルミ成分の色が固着している場合が殆どなのだ。
youtubeを見ただけでネット販売で手に入れて使っている人たちも結構いるのでロープを見る機会もあるのだが、大抵はねずみ色だ。(*_*;;
「ねずみ色の何処が悪いんだ!使っていれば汚れるのは当たり前だろう。」って? ハイハイ、そうですね。ただ、汚れているだけだったら良いんですけどね〜。
それは、右画像の様にキャプスタンドラムにロープを巻きつけて、その摩擦力で牽引力を発生させる訳だが、時に材が岩や切り株などの障害物に当たって止まってしまったり、または牽引力に対して負荷が高すぎて抵抗が多い時に、無理して引くとドラムのみが空回りしてしまうから・・・
そこで、無理して牽引を続けると、やがてドラムが発熱し手で触れないほど熱くなる。
牽引用のウィンチロープは、なんでも良いわけではない。クレモナロープを使って切れてしまったなどという話も聞いたことがあるけれど、動力の道具を使う=危険作業と言う概念がない人には使わせてはいけない。
キャプスタンドラムで牽引するための専用のものは、被覆もコアも化繊の中でも熱に強いポリエステルのダブルブレイドで構成されているが、無理なスリップを続けると溶断してしまう。
それが外からは分からずに、中のコアだけが切れ掛かっている場合があるから事故が起きる。
ところが被覆自体も溶けている場合が多い。その場合、キャプスタンドラムのアルミ成分が削れて溶けかけたロープに固着してねずみ色になっているケースが殆どだ。
って、自分も結構無理な牽引をよくやるので知っている。わたしは分かってやっているから未だ良いものの、何も考えないで無理な牽引をやっている連中もたくさん見ている。
そして、一番ダメなのは、ねずみ色のまま使っていると言うことは、ロープに固着したアルミ成分とアルミ素材のキャプスタンドラムとの相性で、摩擦力が少なくなってしまいスリップが激しくて全然牽引できなくなってしまうから。
そうすると、ますます発熱は激しくなり、ロープは「バッチン!」、となってしまう。
そんな傷んだロープは、使えない部分を切って捨てて、あとはフローティングアンカー(トップ画像の長い材を持ち上げて移動)を設置する時に使ったり、広葉樹伐採の際の裂け留めに使うのが宜しいかと。
ODSKのお客様以外で、こういったロープの知識がない人はこちらも参考になるかも。
・ソフトシャックル(ダイニーマ製10mm)---牽引をより安全にするアイテム
・PCウィンチ(PCW3000)も入るロープバッグ---ArbPro バケットバックパック75Lについて
何にしてもこういった製品の販売者が、伐採、集材のプロとは限らないので、自分自身でよく注意してロープのメンテナンスだけは最新の注意をもって運用することが大事。ロープの破断は大きな事故に繋がる可能性があるので要注意!
【キャプスタンドラムが消耗したら交換】
ロープを無駄に消耗させないためにはキャプスタンドラムが傷ついていないかをチェックしておくことが必要。
逆にロープが泥だらけになっているとキャプスタンドラムがすり減る原因になる。また、被覆が硬いロープも同様。リギング用ロープのシリウス500は32ストランドで編み込んであるので丈夫で良いけれど、キャプスタンドラムには優しくない。
あとは牽引時に高負荷が掛かって、ドラムがスリップを始めると、ギー、ギーとロープとの間で音がする時があるので、その場合には速攻作業を止めて滑車の数を増やすことを考えた方が良い。キャプスタンドラムもロープの両方が傷むからね。
また、PCウィンチを持ち運ぶ時にキャプスタンドラムを傷つけない様にした方が良いだろう。車に積む時も、持って移動する時にも硬いものにぶつけてしまう可能性があるのならば、下記の画像の様にベルトスリングを巻いておく手もある。
ODSKでは、交換用のキャプスタンドラムも販売しているので消耗したら交換をオススメしたい。
また、PCW5000用には高速巻き取り用のオプション、大径のキャプスタンドラムがあり、標準の12m/分から標準の18m/分に速度が上がる。ただし、牽引力が落ちるので、ロープで架線を張って材をヘッドアップしながら集材する様な、速度が速くて負荷が少ない場合に使うのが良いであろう。
【マメなエンジンオイル交換が命】
ホンダの4サイクルの汎用エンジンを搭載している。ホンダ製と言っても日本のものではなくカナダホンダ製のものである。
このエンジンは、オイル交換を怠ると途端にエンジン内部が傷む。何故ならば吸気から排気までのサイクルを司るカムが樹脂製だからだ。
この樹脂製のカムが問題で、オイル交換を怠っているとエンジンがオシャカになってしまうのだった。上の画像はPCW5000の中身の現物。
いや、これは酷いね。ピストンヘッドにカーボンスラッジがベットリと付いている。もちろん、うちの協議会のものではない。
某町の委託事業で林業をやりたい若者たちの募集育成をやった時に、某町が設備していたPCW5000を使っていたら、エンジン音がおかしくて力が出なかったのである。
その場は、うちの協議会のPCW5000を代わりに使って済ませたが、具合が悪くなった方をオーバーホールに出した際に戻ってきたのがこの部品。ま、役場の管理なんてこんなものでしょう。この程度で済んで良かったかもしれない。
多分、何年もオイル交換をしないまま町民に貸し出していたのだろう。オイル交換をしなければ、摩擦が多くて発熱が激しく樹脂製品が変形してしまうのだそうだ。
そして、先に書いた様にバルブの動作タイミングがずれてしまいパワーダウンしてしまうということに。
これはPCW3000も同じ様である。PCW3000に使われているGX35というエンジンは、ホンダの4サイクルエンジン刈り払い機のものと同じらしい。
知り合いの車屋さんが言っていたが、一時期この刈り払い機が出た時にはみんな買って、みんな壊したそうだ。何故ならば、農家のお父さんたちは、刈り払い機のエンジンオイルを交換するという概念が無かったからとのこと。普通の2サイクルエンジンの刈り払い機は燃料入れるだけだからね。
それで、オイル交換もせずにエンジン全開で草を刈っていたらいけません。
【オイル交換作業】
エンジンオイルの量は、PCW3000が100cc、PCW5000が250cc。念のためにマニュアルも確認して欲しいが、こんな少ない量で負荷の高い作業を行なっている訳だから、直ぐにオイルが傷みそうでしょう。
わたしの場合には、ソフトドリンクの缶を使ってPCW5000用の250ccオイルを用意している。オイルの種類は普通の4サイクル用で良いはずだが、うちの場合にはジムニー用にカストロールのターボ用があるので、そのオイルを奢っている。
その上、高性能の添加剤もちょっとだけ入れたりしている。このナノワークス添加剤をPCウィンチに入れると、回り方が軽くなる上にパワーも若干違う様な気がする。
それは、同様に使っている仲間も同感するので、そうなのだろう。
と言うよりも、車に使うと燃費もトルクも違うので効果はあるし、またその効果が長持ちする。チェンソーや刈り払い機の燃料タンクに、ほんの少し垂らしただけでも、エンジンがよく回る様になるので、興味がある方はチャレンジしてみても良いと思う。古い機械ほど分かり易く変わる。
その添加剤ナノワークスのボトルがちょうど100ccなので、PCW3000用にはこのボトルにオイルを入れてある。
さて、5000も3000もオイル交換については同じ様なことをやるので、まとめて書いてみよう。とは、言ってもバイクや車のオイル交換と特別変わったことはない。
まずはオイルキャップ周りのお掃除。うちはエアコンプレッサーでよく吹いて周りのゴミも飛ばしておく。ついでにエアフィルターも掃除しよう。
こう言った道具を長持ちさせるには、エアフィルターの掃除が先ず第一に大事。
あとは、変な燃料を使わないこともかな。そして4サイクルエンジンは、兎に角オイル交換。
カバーを開けるとフィルター用のスポンジが・・・ 外してみると内側の吸入口付近も汚れている。
スポンジは灯油で洗ってから乾かす。ガソリンでも大丈夫だけど耐久性に影響あり?
乾いたら、スポンジをビニール袋に入れてから、そこに硬めのオイルを垂らす。我々ならばチェンソーのチェーンオイルでも良いかもしれない。オイルがサラサラの柔らかいものだと、みんな抜けてしまうからだ。
そして、ビニール袋中で全体にオイルが回る様にしてから絞って余計なオイルを追い出す。そして掃除をした元の場所へ戻して設置。
そうしたら次は目的のオイルを交換する。先ずは古いオイルを抜く。PCW5000の場合にはドレンプラグがあるので、緩めてオイルを捨てる。捨てる先は要らない缶でも、オイルを廃棄するための紙パックでも良い。どの道、大した量ではないので紙ゴミに吸わせてビニール袋に入れて捨てれば大丈夫。
それから新しいオイルをオイルキャップのところから入れる訳だが(ドレンプラグは締めるよね)、今までサボってオイル交換をしていなかったら、一回入れてからエンジンをしばらく回してからオイルを捨てるフラッシングをやった方が良いかもしれない。
オイルを入れたら、オイルキャップに付いているゲージでオイルの量を確認する。
とは言っても、目でも見ることができる。こんな具合だ。
これは、PCW3000も同じで、摺り切りレベルより若干少なめくらい。
この量では心配だとか余計なことを考えて、余分にたっぷりとオイルを入れると、エンジン始動が出来なくなるのでご用心。
あとは、エンジンの回転がもたついたりすることが有ったらキャブ側もオーバーホール。
たまにはキャブも開けてみよう。
オイル交換をすれば、またエンジンは軽やかに快調に回る様になる。
自分の場合には、先に書いた様にボトルに適正な量のオイルを入れていつでも交換できる様にデポしている。そうすれば気軽にオイル交換をする気になるからね。
大事な仕事の相棒はマメなオイル交換で感謝の気持ちを伝えよう。そうすれば、現場で突然ご機嫌が悪くなることもないだろう。
では、お大事にどうぞ。以上