島根スタッフの高濱です。前から書かなければと思っていたことですが、遅まきながらやっと記事にします。
 さて、皆さんはどんなプーリーをお使いでしょうか?
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 一般市民向けの講習を行なっているうちの協議会の場合は、掛り木処理や集材・搬出には高強度の繊維ロープ、いわゆるリギングロープを使っていますので、上の画像の様なプーリーを主に使っています。

 ODSKのお客様達は特殊伐採の方が多いので他にはリギングブロックもお使いでしょう。この様なブロックは下の画像で見ても分かるくらいに、プレートのエッジが丸く作られています。

 ロープがエッジで擦れて傷まない様に最初から丸くなっています。ところが、上画像のプーリーの中にはプレートのエッジが立ったままのものがあるんですね。そんな事を中心に書いてみたいと思います。

 プーリー・ブロック・滑車と称されますが、素材がアルミだったり鉄鋳物だったり、ステンレスだったり、色々ありますので、全体に通じる話も混じえて書いてみましょう。
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 さて、こういった安全のためのコストを掛けたリギングブロックの場合には、シーブを固定しているシャフトは圧入のものが多いので、自分でメンテをやれることとしたらシーブトプレートの間をエアを使ってゴミを飛ばすことくらいでしょうか。
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 こんな間のゴミですね。
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 こちらはワイヤーロープに使うスナッチブロック、オタフク滑車などですが、こちらにはグリスニップルが付いて居るものがありますので、その場合にはグリスガンでグリスを注入します。
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 大きなグリスガンなのは、林内作業車の足回りもグリスアップするからです。販売店さんに聞くと、足回りのグリスアップしているしていない、と言うメンテナンスが一番テキメンに機械の程度に影響するそうです。

 これは林内作業車だけでなく農耕用の機械でもバックホーでもそうですが、足回りが一番傷みますからね。
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 グリスアップすれば、古い滑車でも結構スムーズに動きます。

 ところが、日頃こういった林業道具に油を上げる位の簡単なメンテナンスさえやっていないから事故につながります。


【メンテが出来ていなくてヤバかった話二つ】
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 以前、手伝い仕事で、某事業体の下請けさんの手間取りに行った時の話です。

 現場は250m位の距離を22mmの主索を張って搬出しているところですが、材を引いているとキャレッジを吊るしているブロックから異音がしていました。
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 音がするのは、キャレッジが移動するときなので、荷揚げ線ではなくて主索の方です。

 そこで、主索を降ろしてもらって、上画像のキャレッジを吊るしているブロックを外すと、、、まず問題点が一つ。

 シーブの真ん中が削れて12mm位の溝ができているんです。つまり、12mm位のワイヤーロープで削ってしまったのでしょう。そして、もう二つ目は、シーブが渋くてなかなか回りません。

 多分この異音の原因は、22mmの主索の上を走るブロックのシーブの真ん中に削られた溝と端にワイヤーのストランドが当たって回っている音だったのでしょう。
 やばいですよね、こんなブロック使っていたら・・・下手したらワイヤー破断に繋がるでしょう。
 音がおかしいと言い出したのはわたしであって、他の作業者は気にせずにやっていましたから危ないところでした。

 何かがおかしいと思ったら作業をストップしてチェックした方が身のためです。不具合というのは目視だけでなく、音や臭いに顕著に出ますから、そういった異変をピックアップできるセンサーを自分のうちに創り上げていない人は、常に受け身で生きているということでしょう。
 トラブルや事故を自ら防ぐ様にアクティブにコントロールする気のない、依存的な精神状態なのかも知れません。
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 大体、どこもそうですが、搬出現場のブロックを見ると、錆びてボロボロのものを使っているところが多いですね。上画像は上記の現場のものですが、こんなのは、未だましな方だったりします。
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 右画像は、また別の現場で見たものですが、自分で買おうと思ったらとても手が出ない大きなブロックも現場に長いこと野ざらしにされていました。

 小さな事業者や個人事業者ならば、あり得ない扱いをされている道具が多いですね。こういう道具を使っている事業体は、作業者も使い捨ての様です。事故が起きたとしても労災の対象にならないように下請けのグループを使っていて表沙汰にならない様にしています。

 先日、ある確かな筋から聞いた話でも、35歳の若い人が伐採事故で亡くなったそうですけど、事故の状況は誰も判らないと言っていました。お葬式をさっさと済ませて片付けたらしいです。

 さて、もう一つ危なかったことは、だいぶ前にやっぱり架線搬出を手伝いに行った時のこと。この話は、わたしのWebサイト「自伐林業への道」の記事には、やんわりと書いただけですが、本当はやばかったんです。

 18mmワイヤーを主索に160m位張りました。宴会翌日だったので18mmワイヤーを樹上に設置するのは大変な作業でした。地面に昨夜のお土産を戻しながらの作業です。
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 場所はこんなところです。
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 でもって、架線から発動機まで全部準備が出来て、わたしが荷掛けをして無線で合図をしたら、材が上がっていったと思ったら横2m位のところにガシャーンと言う音がしてキャレッジが落ちてきました〜!

 18mmの主索がブチ切れたんですね。離れて居なかったら、大怪我か死んでいたかも知れません。2mじゃ近すぎるって?いや、大分離れたつもりだったので、主索が切れた際に真下ではなくて横方向にも飛んだのでしょう。

 主索は大分頭上の上の方で、丁度わたしが居た近くから切れたので、ワイヤーに巻き込まれることも無かったのも幸いしました。
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 後で確認したら、ワイヤーを繋いで新しくしたらしいですが、古いところがサビで弱っていたという・・・

 わたしは何方かというと運の良い方で、一つ間違えれば死にそうな目にけっこう遭っていますけど、事前に察知すると言うかなんと言うか、この時も相方に、「もっと、離れようぜ!」、と言って場所を変えていたから良かった様なものです。

 以前、沢登りをやっていた時もそうですが、他人の道具は信用しない、と言うことを改めて体験したという出来事でした。

 これらワイヤーロープ系の機材は、長期間野山で使うための道具ですから、耐久性は高いですが、それでもワイヤーも含め鉄製品は、油切れにならないようにメンテナンスが必要です。ワイヤーも、赤く錆びたものを使っている人がいますが、錆びが内部まで入ってしまうと破断する可能性が高くなります。ワイヤー用のグリスを塗りましょう。
 ま、こんな記事を覗く人には釈迦に説法かと思いますが、念のため・・・

 この話はワイヤーロープの場合でしたけれど、リギングロープの場合でも機材のメンテナンス状況によっては、似た様な事案が発生する可能性があるでしょう。


【ポータブルウィンチ社のプーリーで気をつけること】
 さて、此処からが本題です。もう何年も前からKさんに言われていた事ですが、やっと書きます。
 うちの協議会は、2012年の3月にPCウィンチのPCW5000を導入していますから、もう7年以上ポータブルウィンチ社の製品を使っています。その後、2015年の6月頃には下位機種のPCW3000を導入しました。

 最初は、PCW5000を買った輸入元に、カナダのポータブルウィンチ社のサイトにはPCW3000という機種があるけれど、それが欲しいと言ったら、「これは狩猟用のものなので、林業には使えないから売らない。」、とハッキリ断言されて、わたし以外にもこれが良いとPCW3000を紹介した2箇所の自治体が購入希望を連絡したのにも拘らずに販売しないと断られたんです。

 なので、Kさんに頼んでPCW3000を使わせて貰ったら。案の定、全然使えるじゃないですか・・・
 勿論、長距離集材は巻き取り速度が5000に比べて遅いので、自分的には2〜30m程度かなと思っているのですが、集材から掛り木処理まで活躍します。9784881383261-2

 それで、全林協さんの道具と技、林業現場人の13号の「材を引っ張る技術いろいろ」にペンネームで機動的ポータブルウィンチセット、という内容の記事を書いたことがあります。
 その後、PCW3000は林業関係者に相当売れた様子。

IMG_9239 (1) このPCW3000のセットだと、ウィンチからロープ、プーリー類などが全部ザックに入れて運べますので、一人作業で材の移動や太い木の掛り木処理をするのが楽になります。


 さてさて、話がちょっとずれましたが、そのポータブルウィンチ社のプーリーの件ですね。型番はPCA-1275で商品名はスイングサイドスナッチブロックです。
 下画像の、右端がポータブルウィンチ社の大きい方のプーリーPCA-1275です。あとの二つはCMI社のプーリーです。

 このPCA-1275は、自分的には気に入っている部分もあって、それは何かと言うと、プレートに穴が開いていないので泥が入りにくいことです。
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 我々は地引き集材を行うことが多いですし、一般市民の受講者の人たちは作業時の道具の状態まで気が回らないのが常ですから、Wラインで引くときにもプーリーが地面と接触しても牽引作業を続行してしまう場合があります。

 と言うよりも、自分のものでないと、目的遂行のための道具に対して気遣うことがないのが殆どでしょう。無理くり力づくで使っては道具が可哀想だから、なんて思わないですよね。

 わたしも、つい限界点を探ろうとしたりするので、道具(車も?ボコボコだったり)に対して非情な扱いをしてしまうことが多々あるんですが、これはテスト的な意味もあるのでご勘弁を。

 それで、このスイングサイドスナッチブロックPCA-1275ですが、ステンレスのプレートは切り出したままエッジが鋭いんです。
 「エッジを削った方が良いよ!」、と言うのがKさんに言われていたことでした。

 うちの協議会が買ったのが7年以上前でしたけれど、近年のものはもっとエッジが立っています。一昨年に見比べてみましたけど、製造者が変わったのかと思われる位に、最近のものは仕上げが良くないですね。IMG_5293 (1)














 画像の左側がPCA-1275で、右側はCMI社のPR−108です。PCA-1275のエッジは何も処理されていないのが判るでしょう。

 右側CMIのPR-108のサイドプレートが薄く見えるのは、プレートのエッジが丸まっているためです。厚さはそんなに変わりません。IMG_5294 (1)

 右画像の右がPCA-1275で、真ん中がPR−108ですが、両方ともシーブの大きさは同じです。

 PR−108の方がが大きく見えるのは、プレートを大きくしてロープをガイドしているからですね。さすが専門メーカは造りが違います。

 また、その分強度も上がって、PR−108は破断強度が7200kgですが、PCA-1275は2200kgとなっています。
 一番左のRP-105という小型のものも破断強度が7200kgです。
 リギングにはCMIのプーリーの方が安心でしょう。


【ポータブルウィンチ社のプーリーのエッジ対策】
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 両方ともポータブルウィンチ社のPCA-1275ですが、右はエッジの処理を施したもの、左は販売されているままのものです。
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 如何ですか、エッジを丸くしたら少し薄く見えるでしょう。

 このエッジを丸くする作業は、私の場合はディスクグラインダーでざっと削ってからヤスリを掛けて綺麗に整形をした後に、1000番の紙やすりで磨きました。
 このステンレスプレートは意外と柔らかい素材を使っている様子なので、ヤスリと紙やすりだけでも十分に作業が可能です。
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 ついでにルーターでカラビナが掛かる部分のエッジも取っておきました。IMG_5285 (1)
















 何故ならば、エッジが立っているとカラビナに良くないからです。IMG_5307 (1)
















【プーリーのグリスアップ】
 さて、これらのプーリーにはグリスニップルは付いていませんので、メンテナンスのためには分解してシャフトにグリスを塗ってあげる必要があります。

 PCA-1275の場合には、チェンソーや刈り払い機のプラグ回しが使えます。NGKプラグだとBの型番が入っている大きさのものですね。最近のハスクの小さいプラグ用のものではありません。IMG_5278 (1)
















 ワッシャーなどをなくさない様にしましょう。
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 プラグ回しは二つ要るかと思いましたけど、一つでナットを緩められました。ナットは緩みどめの樹脂が入ったものです。
 PCA-1275はブッシングタイプなので、砲金製のスリーブの中をパーツクリーナーなどで綺麗にしておきます。IMG_5280 (1)














 結構汚れていることがありますからね。
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 そして、グリスをシャフト側と両方に塗って組み立てれば終了です。IMG_5296 (1)














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 こちらは、CMIの小型のプーリーですが、こんな風に泥が内部に入っていることがあります。IMG_8589 (1)














 場合によってはプレートが曲がっていたりする場合がありますので、万力で挟んだり平らな木の上でハンマーで叩いたりして整形します。IMG_8592 (1)














 こちらはベアリングタイプでした。できれば材の牽引用にはブッシングタイプを使った方が良いですね。
 掛り木処理などで材が跳ねて走った時などは高負荷が掛りますので、ベアリングだと壊れる場合があります。と言うか壊しました〜!
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 此方もグリスを塗って出来上がりです。写真ではモリブデングリスを塗っていますが、これは持っているからだけの意味なので、普通のグリスで良いと思います。

 どの作業も簡単に出来ますので、ロープを傷めないための手入れをお勧めします。プーリーは金属なので丈夫ですけど、ロープの中間点を傷めて短くしなければならないような事態は防ぎたいからですね。

 あ、それから、ロープを傷めないという意味ではシーブのチェックも必要です。泥がついたりしていることもありますけど、、、って、集材・搬出の講習会やっていると、使い終わったプーリーを泥の上に投げ置いている人が居たりして、、、我々はやらないですけどね。

 それ以外に、シーブが傷ついていることがあります。これは収納の時に他のプーリーのプレートに当たったり(Kさんは、柔らかいものを間に挟みなさいと言っていますが)、牽引伐倒の際に石などに当たってしまう場合があるからです。
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 あいや〜! シーブがギザギザです。
 誰だ、こんな使い方をしたのはっ? はい。わたしです。大木を牽引伐倒した際に地面に潜ったのを無理に引っ張ったらこんなザマに。申し訳ございません。IMG_5295 (1)















 これもヤスリを掛けてから、さらに紙やすりを掛けて滑らかに修正です。いや、参った参った。

 と言うことで、リギングプーリーのメンテナンス編でした。またまた、長かったですね。以上