今回は、ロープバッグのArbPro バケットバックパック75Lを紹介してみます。
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 樹上伐採用としての視点ならば、ロープから各種ギアまで全てが収まるということと、また素材がPCVなので雨に強いという点が優れものでしょう。

 大型ポケットが左右についていますし、また天葢にはロープを出し入れするための孔と蓋が付いているのも面白いです。
 でも、75Lもあるならばもっと他にも色々収まりそうです。


【近い現場でもバッグがあれば楽】
 75Lと言えば登山用ならば何泊もの縦走やキャンプ泊などに使う大容量です。写真左ピンク色のザックは、昔のミレーの2気室80Lの登山ザックです。これにビールや酒、食料をタップリと詰め込んで、屋根はタープだけで山奥の源流で山菜&イワナパーティをやっていました。

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 このミレーの80Lザックは単体でも結構な重さがありましたが、今回のお題のArbProの75L場合には、登山用ではないので背中の部分のフレームやパッドが入っていないために、この容量としてはかなり軽い部類ではないでしょうか。

 もし、超重たいものを背負いたければ、背負子の方が様々なフォーメーションで使えます。自分の場合には、右画像の様に背負子にホームセンターで売っている頑丈なスタック用のカゴを取り付けていて、さらにロープバッグをゴムベルトで縛り付けたりします。
 このカゴの中にはポータブルウィンチのPCW3000が入っています。ピッタリの大きさなんですね。
 この時は公園内の支障木伐採だったのですが、車を駐めたところから300mくらいのところが現場。でも登り降りがあるし、道具は多いしで手で一つ一つ運んでいては作業前にくたびれてしまいますし、その上、作業が終わってからの帰りは登り! なのでArbProの75Lも背負子も両方とも活躍しました。9784881383261

 また、ArbProの75L場合でも同様にPCW3000のセット程度は入りますので、簡易な(そして強力な)牽引セットが全て収まります。今回の記事はそんな視点で書いてみたいと思います。

 実は、わたくし既にこのワンパックウィンチセットの記事を全林協さんの林業現場人「道具と技 vol.13」(材を引っ張る技術いろいろ)に書いているんですね。もう4年くらい前のことです。978-4-88138-203-5
 他にも11年くらい前だったか、同じく全林協さんから出ているノウハウ図解山仕事の道具という本にも記事を書いていて、此方では手道具の修理修復や刃物・鋼の智慧やノウハウについて、本の4分の1くらいのボリュームを担当しています。
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 この本では、熱可塑性樹脂のカイデックスを使った鞘(シース)やケースの作り方を、多分日本で一番最初にノウハウ公開しています。皆さんが、腰に付ける道具類をスナッピングして納めたい時には、カイデックスの場合には反力を持っていますので、確実にホールドできるケースを作れます。

 例えば、左画像はハスクの小型マグネシュームクサビですが、上下の両方から挿して収まる様に作ってあります。カイデックス素材は、ハスクやスチールの腰の物のホルダーに使われているものです。そして世界中の軍隊のガンホルダーや小物類のホルダーに使われています。
 カイデックスは外国製で、国産はカイダックという商品名でアマゾンでも買えます。自分で作る自分の道具のシース・ホルダー作りは面白いですよ。何時か伊那で講習会をやりましょうか?
 また、この本には、他にも今でも役に立つ内容が載っていますので良かったらどうぞ。

 あ、両方ともペンネームです。ネットビジネスをやっていた頃でしたので、公私を切り分けるために使っていました。結局、道具やノウハウについて能書きを書くのが好きみたいです。IMG_1220(1) ま、此方の方(ODSK島根講習のデモンストレータ)の足元にはまるきり及びませんけれどね。
 わたしはコアな方ではなくて、一般市民の方々向けのやさしい内容を難しく伝えるのが得意?って。。。なので、他にも現代農業誌やその臨時増刊などにも頼まれて記事を幾つも書いたことがあります。

 さて、話を戻して、そのワンパックウィンチセットですが、当時は良いザックがどこにも無かったので、ミレーの登山ザックを使っていましたけれど、今では ArbProの75Lがありますので非常にパッキングしやすくなりました。その件について書いてみましょう。


【ロープの手入れ】
 また、他にArbProのバッグには28LのバケットバッグAir40Lのバケットバックパックがあります。特に28LのバケットバッグAirは、バッグの裏側にメッシュ生地を採用していますので、ロープが濡れた場合に効果があります。濡れものは通気が大事ですからね。
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 でも、日本海側の様な湿気た気候では、濡れたロープは風通しの良い日陰で速攻メンテナンスをした方が良いかも知れません。わたくしの住んでいるところではバッグごとカビてしまうんです。
IMG_3684のコピー (1) ですから、牽引用のロープでもまめに洗濯しています。特にPCウィンチに使うロープは激しく汚れているとスリップの原因にもなりますし、ひいてはキャプスタンドラム磨耗に繋がります。

 また、スリップが激しい場合には摩擦熱により、見た目は分からなくともロープのコアが溶けていたりして溶断につながります。

 話が飛びますが、もしロープがネズミ色の様な感じになっていましたら、それは過負荷でウィンチングしてドラムのアルミ成分がロープに固着しているのかも知れません。

 そうするとアルミとアルミで擦っている事になりますので、さらにスリップが激しくなり力を入れても材が動いてくれなくなります。IMG_1770(1)

 そうなると、さらに摩擦熱は一気に高まってアルミのキャプスタンドラムを触ると火傷するほどに。リギングロープの素材であるポリエステルの溶解温度は200度台ですから即溶断に繋がります。

 キャプスタンドラムでのウィンチングでは、ドラム温度を触って確認しましょう。

 材が重たくて(地面の抵抗が大きくて)動かない場合には、無理せずに倍力、3倍力のシステムに組み替えましょう。

 そして、ロープはマメに洗濯をすることをお勧めしたいですね。泥などはホースのジェット噴射で結構綺麗に落ちますし、洗濯機で洗剤を使って回せば綺麗になります。

 わたしはチェーンノットでまとめて100mロープを洗ったりしていましたけど、あの有名な梶谷先生はWチェーンノットを使って洗濯をされているそうです。洗濯した後は物干し竿に下げて陰干しですね。


【パッキングのコツ】
 さて、28LのAirは、クライミング用のロープバッグとして使いやすいですが、75Lのバッグには容量が大きい分だけ色々なものが入ります。
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 例えば、12mmの100mロープ。それからポータブルなエンジンウィンチのPCW3000。さらにはロープ用のプーリー、ベルトスリングやカラビナ類が集材のために必要分が入ります。

 大きなポケットが二つもありますからね。


 それだけ入れると、重さは、「若者だったら担げるだろう!」、と言う程度です。(^-^;;
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 さて、画像ではPCW3000がむき出しですが、できれば万が一ガソリンが漏れた時のためにもう一つ別に画像の様にパッキングをした方が良いですね。

 また、背負う場合のために、背中側にはベルトスリングなどクッションになるものをパックした方が良いでしょう。

 それからこう言った重量物をパックで背負う場合には、重たいものを上に持ってきた方が背負った時に姿勢が安定します。これは登山の場合も同じです。

 が、バランスを崩した時には高い位置に重たいものがあると振られやすいですから、ご自分の筋力と、それから歩く距離とのバランスで、どの様にパッキングするかを考えましょう。パッキングも技術の一つですものね。


【ワンパックウィンチセット】
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 先に書きました様に、全林協さんの林業現場人用の記事用に上のワンパックウィンチセットの写真を撮って使いました。ウィンチ用の黒いケースは持ち運びに要らないので無視してください。

 この中身はPCW3000を使って材を牽引する時のフルセットですが、現場によっては此処まで要りません。

 そして、上右画像では、兵庫、丹波の被災地で中島彩さん達が作業をしているところへKさん達と行った時のものです。ウッズの若い方に80Lザックを担いで山に上がって貰いました。ご協力有難うございます。
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 その後、去年になって講習会用にテキストを更新したので、ArbProの75Lを使って再度ワンパックウィンチセットの写真撮りをしました。


 ちょっと軽めなセットです。ロープはウェスパーのMサイズのロープバッグに入った10mmのシリウス500(破断強度2.8t)の60mロープです。

 バッグごと測ると22kgくらいでした(スキッドコーンは除く)。入れた状態を上から見るとこんな感じです。まだまだ、余裕がありますね。
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 でも、あまり欲張ると身体に堪えますし、ザックにも良くないかもしれませんので無理は禁物です。
 










 左右のポケットにも色々入ります。
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 ギアラックもついていますからカラビナなども下げられます。
 こんな具合にパッキングされますので、体力に余裕があれば片手にスキッドコーンを下げていけば完璧です。如何でしょうか。


【12mm100mロープを入れると】
 さて、こんどはもうちょっとボリュームがある牽引用の12mmリギングロープを100m収めるとどんな具合でしょうか。IMG_3532 (1)







 結構、まだスペースに余裕がありますね。PCウィンチのPCW3000ならば、まだ余裕で入ります。

 昨年春に、広島県の木の駅八千代さんが此れらのセットを導入されましたので、100mロープとPCW3000をArbProにパッキングして担いで山に登って貰いました。IMG_4084のコピー (1)


 逆光でちゃんと撮れませんでしたが、若者は元気良く山を登って行きましたよ!






 さて、実際の牽引現場の話です。倍力、3倍力を掛けようとすると、やはりロープは余裕をもって100mは用意しておきたい場合があります。

 短ければ継ぎ足してプーリーやウィンチのところを避ける手もありますが、なかなかそんなに上手くは行きませんからね。

 普段の伐採作業では、なかなか全体像の写真を撮るチャンスを得られないのですが、この度は仲間も撮ってくれたので、ArbPro 75Lが活躍している場面を記録することができました。
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 こちらはPCW5000を使っての起こし木伐倒をやっているところです。道脇なのでほとんど楽勝です。







 それから此れは、ArbProの75Lに12mm100mロープとポケットにプーリーやスリングなどなどを入れて斜面を登っているところです。

 ロープを敷設しながらですね。逆から見るとこんなところです。PCW5000を切り株に設置して山側への牽引伐倒です。
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 公園内の遊歩道には電柱と電線、光ケーブルなどが通っている脇で怖いところです。絶対に電線側には倒せません。

 その様な場所の木を何本も伐倒しました。なので、ロープの敷設と回収は何度も行いましたが、ArbProの75Lはその助けになりましたね。IMG_1930のコピー (1)













 この木も牽引伐倒です。受け口の上に裂け止め(受け口の上にロープなどを巻くなどの対策。斧目は入れてある)は施してありませんが、ツルを厚く(7cm位はあったかも)して絶対に横には倒さないぞモードで、PCウィンチのPCW5000を使って、力づくで引き倒す方法です。

 そして保険に電線と反対側には、12mmリギングロープ(&ポータラップ)とワイヤー(1.6tチルと10mm延長ワイヤー)との2本で引きながらの振り子伐倒でした。

 ツルは最終的には信用しないけど、できる限りツルに頑張って最後まで働いて貰おうという魂胆ですね。なので、受け口はオープンフェイスです。伐採作業の仲間はホント丁寧な作業をしますので伐倒方向が狂うこともなく、安心して作業ができます。

 あ、そうそう。この位の高さのところにロープを回したり、チルホール用の牽引サブワイヤー10mmを回すのは木に登らなくても十分にできます。周りを伐って広くしてあるので、枝は処理しなくて大丈夫だからです。

 兎に角、ツルを厚く残しておく(場合によっては様々な裂け止めも施して)PCウィンチを使ってのロープ牽引伐倒は(1.6tチルよりも)全然楽ですし、より安全ではないかと思います。

 さらに樹上に3倍力を設置する技があれば、相当な起こし木伐倒も可能ですし、PCウィンチの牽引速度の速さもより安全に正確に伐倒できる要素かも知れません(チルを人力で曳いている途中に大風でツルが千切れて思わぬ方向に倒れる隙を与えないとか...)。ただし、伐倒後に木が走ったりして逆走しそうな場合には逆流れ防止装置もセッティングしておかないとPCウィンチを傷める場合があります。チルよりも大事に扱いましょう。IMG_3758 (1)

 そんな作業全般を効率良く楽にしてくれるのには、ロープバッグも大事なアイテムかと思います。

 兎に角、ロープは敷設も撤収も楽というのが良いですね。まだ使ったことが無い方のために右画像を載せてみましょう。

 この画像は現場ではなくロープメンテ中のものですが、ロープバッグに仕舞うのには、少し高いところ(現場だったら立木)にプーリーを設置して、そのままバッグの中にロープを端から仕舞えば良いだけ。

 もう、ワイヤーの面倒くささなんか比較にならないくらいに楽勝です。

 因みに右画像は以前ODSKで扱っていた69Lのセンチネルホールバッグです。防水は良かったのですが、ちょっと重たいのが難点でした。ArbProの75Lの方が使いやすいです。IMG_4468のコピー (1)
 センチネルの方はデザインがちょっと古いので蓋を閉めるのにも手間がかかったりしますから。

 また、この青いロープはシリウス500の14mmロープ(破断強度5t)100m。なので、結構ザックに一杯になります。14mmになると流石に重たいですね。

 また、バッグにロープを仕舞う場合には、プーリーを使わない場合でも、腰のズボンのベルト通しにカラビナをつけて、そこにロープを通して両手でバッグに入れていくてもありますし、ロープが汚れていなければ、肩にロープを回して両手を使ってバッグに入れて行けば良いだけです。

 あ、それから大事なことを忘れていました。ArbProの75Lの天蓋にロープ用の取り出し孔が開いていますけど、短いロープだったら兎も角、牽引用の長いロープを此処から出したら片付けが大変!!
 一回、忘れてやってしまい往生したことがあります。その時には全部出し切って仕舞い直しましたね。

 さて、まだの方は如何でしょうか、この便利なワンパックウィンチセット。作業効率と安全性が高まるのではないでしょうか。島根の縄文之森協議会の高濱でした。以上